ものもらい
ものもらいとは
ものもらいとは、麦粒腫と霰粒腫という2種類の病気を合わせた総称であり、原因・症状ともそれぞれ違います。
地方によって呼び方に違いがあり、関東方面では「ものもらい」、関西方面では「めばちこ」、その他の地方では「めばち」、「めいぼ」、「めっぽ」など、様々な呼び方があります。
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
自覚症状は「目がごろごろする」ような感覚です。実際、まぶたなどの眼の粘膜上にふくらみが見られます。麦粒腫は、細菌感染ででき、化膿することもあります。まつげの毛穴に存在する脂腺や汗腺に起こるもの(外麦粒腫)とまぶたにあるマイボーム腺(脂腺の一種)に起こるものがあります。(内麦粒腫)
初めはまぶたに局所的な赤みが出現し、しばしば軽度の痛みや痒みを伴います。「まばたきをすると目が痛い」と気づくことが多いようです。
麦粒腫の治療方法
軽症の場合、自然になくなるものもありますが、腫れが長い間ひかなかったり、何度も再発したりすることもあります。乳幼児などで症状がひどい場合は治療が必要ですが、普通はそのままほうっておいても2~3週間で自然に治っていきます。
ほとんどがブドウ球菌感染ですので、症状に合わせた抗生物質の点眼薬、症状が重い場合は、内服薬や軟膏などが処方されます。
早めに受診すれば、これらの薬で細菌の働きが弱められ、白い膿点が出る前に治ることが多いです。
すでに膿点ができているときは、膿点を細い針先で突いて膿を出すと痛みが和らぎ、治っていきます。(危険ですので必ず医師の診断を仰いで、ご自分でなさらないように!)
麦粒腫の注意点
若い人でこれを繰り返す場合、感染症にかかりやすい病気を患っているか、糖尿病なども疑われますので、医師に相談しましょう。
霰粒腫 (さんりゅうしゅ)
麦粒腫と似ていますが、霰粒腫はまぶたの中にコロコロとしたしこり(腫瘤)ができ、まぶたに触ると、クリクリと動きます。
徐々にしこりは大きくなり、まぶたが重苦しいような不快感を覚えますが、痛みはありません。「しこり」だけの無菌性の霰粒腫ですが、時として細菌感染して炎症を起こして腫れる場合もあります(化膿性霰粒腫)。
霰粒腫の治療方法
しこり(腫瘤)が小さければ、そのままにしておいても問題ありませんが、しこりが大きくなると、不快感だけでなく、外見上の問題も出てきます。
治療方法は、点眼薬と内服薬や軟膏を塗布します。早期は自然になくなるものもありますが、何度も再発すると悪性腫瘍であることもありますので、自己診断せず専門の眼科医に診察を受けてください。
腫瘤が大きい場合は、眼科医で副腎皮質ステロイド薬を腫瘤に注射したり、まぶたの裏から瞼板腺を切開して、たまった内容物を出す手術を行います。
霰粒腫と麦粒腫の治療にあたって
点眼薬は医師の指導にしたがって使用してください。点眼薬と内服薬は決められた期間で使用してください。
症状が消えた後も医師の指示を出すまではきちんと薬を使用し続けてください。これは、細菌などが完全に退治されるまでは再発の危険性があり、指示通りに薬を使わないと「耐性菌(その薬が効かない菌)」が生まれる原因になるからです。
内服薬では、薬が体に合わないと下痢をしたり、蕁麻疹がでることがあります。その場合は、医師・薬剤師にご相談してください。
ものもらいに関するQ&A
Q.ものもらいはうつるのでしょうか?
A.ものもらいの原因はウイルスではなく雑菌が原因ですので、麦粒腫・霰粒腫ともに人から人へはうつりません。
患部に触れた目薬を他の人が使ったり、患部に触れたタオルで顔を拭いたりして、菌に触れると感染します。
Q.ものもらいの予防には、どのような方法がありますか?
A.基本的には、ものもらいの原因になるようなことをしないことが大切です。
- まぶたの周辺を清潔に保つ。
- 目をこすらないようにする。
- 化粧品類(マスカラやアイラインなど)の使用に注意する。
- なるべくコンタクトレンズは使用しない。もし装着するとしたら、清潔なものを使用する。
- 前髪が目にかからないようにする。
- アルコールや刺激物など、炎症を悪化させる作用がある食品の摂取を控える。